日本語の俗語〜導入編〜

ていうかHiNative反省会

俗語の多くは伝統的な古語や方言に由来しているため、「乱暴な言葉」だと決めつけたりする事については、一介のアマチュア言語学者として不満がある。
また、日本語の俗語は男性だけの物ではないし、こういった言葉遣いを女性が使ったからといって後ろ指をさす人なんかいない。
女性の使うイメージがあまり思い浮かばないのは、女の人とおしゃべりした経験が乏しいからだ。
否定しようのない証拠画像とともに、さっそくいくつかの俗語の例を見ていこうではないか。

やる

はじめに教えるべき用法

「する」と「やる」の使い分けを突き詰めると、なかなかドキュメントに起こすのが難しく、そう簡単に置き換え可能でないことがわかる。
ここでは、日常会話の中で最も大事な用法だけを紹介する。

「やる」の使用例

…というように、具体的な述語を「やる」の一言で片付ける省略表現だけは最低限覚えておくといい。
ただし、どんな述語でも「やる」に置き換えられるわけではない。
「やる」という言葉が使えるのは、英単語の manage で表現できるような、ある程度複雑な手順をふむ活動に限られる。
規模を問わず「しごと」と言えるような類かな。
実際の会話では、何らネガティブな意味合いを持たない当たり障りない意味で「やる」という言葉を使っているし、「ですます体」の中にもよく出て来る。

だから「やっつける」とか「セックスする」とかいう用例をあえて説明する必要性はないって分かるよね?
「やる」の本義の中にどうせ含まれるんだから。
本来当たり障りない日常単語を裏の意味で使用する、いわゆる隠語についてはまた別のトピックで取り扱うべきで、「やる」の使い方を教える際にいきなりヤバイ例文を持ってくるのは順番を間違えすぎている。
「する」は丁寧な言葉で、「やる」は丁寧じゃない言葉だ…という説明で終わってしまっては非常に残念だ。

参考程度に教えてもいい用法

「あげる」と同じ意味で「やる」を使うこともあり、この場合は単純に「あげる」の方が丁寧な言い方になる。
しかし現代の日常会話の中では、目下に対する下称体を使おうという誘因が働かず、相手が目下だろうがペットだろうが「あげる」を使うのが普通だ。
ただし三人称に対するポライトネスがあまり発達していないため「小さい子の面倒見てやってね」ぐらいの使い方なら有り得る。
話し相手に対して直接的に「やる」を使った場合は次のようなニュアンスが必ず発生するので、「男性は『やる』を使う」とかいう説明をしてしまうと Communication Error を招きかねない。

ちび、犬ころ

「ちび」という言葉の意味を今更説明する必要はないが、気をつけなきゃいけないのは、使う人次第で愛情表現にも罵倒表現にもなり得るという事。
要するに小さい物に対して、「儚く愛おしい」と考えるか「取るに足らない」と考えるかの違いだ。
したがって「ちび」という言葉を使った例文をいくつか挙げてもらう事で、少々厳しい言い方になるが、その人の育ちの良さを測る事もできてしまう。
HiNativeの中でも特に悪い思い出のひとつに、「犬ころ」への回答がある。
この「犬ころ」という言葉も「ちび」と同じで愛称にも蔑称にもなる物だから、注意深く用例を確かめる必要がある。
「犬ころの意味は英語で言うと damn dog みたいな物だ」と説明した人…イエローカード。
「アイコンを見たところお前は女だから使うべきでない」とたたみかけた人…レッドカード。即退場。
攻撃的な例文を第一に掲げる人は、日本語教師はおろか語学交流すら向いていないと思う。

やばい

話し言葉で「やばい」は黄色信号「危ない」は赤信号みたいな使い分けが生じていたりするので、単なるslangとして安易に切り捨てることができない。
作業中にしくじって「やばい!」と言うのは「しまった!やっちゃった!」の一歩手前であり、今のうちなら回避可能・修復可能なはずだという意味も含んでいる。
「やばい」と「まずい」はよく似ているが、「まずい」が主に手段の悪さを言うのに比べると「やばい」は応用範囲が広い。
また、今のところは被害を受けてないけど見るからに危なそうな事を「やばい」と言う。
この意味では「物騒」という言葉に似ている。

現代語に疎い作家がよく変な所で「やばい」を使ってしまいがちだ。
とにもかくにも「やばい」の基本的なニュアンスは黄色信号。
被害の全容がまだよく分からない時は「あの事故、やばくない?」などと言うことはある。
しかし具体的に深刻な被害が分かり切っている時に「あの事故、やばかったね。」とは言わない方がいい。

この言葉は、逆にポジティブな意味で使われている事でも有名だね。
予想外なほめ言葉として使うのは、英語の「awesome」や中国語の「厉害」とよく似た印象がある。
具体的な感想を述べないで、感情が先走った時などに、ついうっかり出る言葉でもある。
しかし、発言が「やばい」だけで終わってしまうのは語彙力の点から問題がある。
「やばい」という言葉だけで満足してるような広告もたま〜に有るが、正直そういうのは何をアピールしたいのか分からず興味の持ちようが無い。

「〜み」の使い方

形容詞を名詞化する「〜さ」「〜み」について、基礎的な事から話し始めると……
「形容詞の語幹+さ」は、どの程度大きいか・ある程度強い事などを表す。
「形容詞の語幹+み」は、程度の大きさはともかく、そういう感覚を与える何かが存在する事を表す。
たとえば「本の厚さ」と言えば具体的に何cm厚いのかを問題にしていて、「厚さのある本」と言えば結構厚い・ある程度厚いという意味になる。
「厚みのある本」と言えば「厚い!」と思える感覚はあるけど、具体的に何cmぐらい厚いのかは問題にしていない。

「〜さ」はどんな形容詞に付けてもいい。
一方「〜み」は一部の限られた形容詞にしか使わない(辞書に載ってる物に限る)。

しかし最近のスラングでは制限なく「〜み」を使う会話表現が見られるようになった。
中には「分かりみ!」のように、動詞の連用形に付けちゃってる例まで有ったりする。
ここで注意すべき事は、「〜み」の意味それ自体はまったく変わっていない、という事である。
すなわち、「分かりみ」とは「分かる!」と思える何かが存在する事を言い表している。

命令形

これに関して思う事は、本サイトの「命令形」のページで長文をつづってある。

3つの例文

どうしても命令形と言うと、刑事ドラマやヤクザ映画で「男がいばって命令する」イメージに飛びついてしまうらしい。
そういった男性語的なイメージは、昭和の限られた一時期に湧いて出ただけの、由緒正しくない用法である。
わらべ歌の中にも命令形を使った表現はよく出てくるので、そういうのを思い出しながら、古き良き日本語というものに立ち返ってみてはいかがだろうか?

「ぞ」などの終助詞

4つの例文

女性話者による使用例を認めながらも、「ボーイッシュにふるまいたい時に使う」など依然として男性的なイメージで説明されがちな終助詞。
しかし現実は、男性語扱いするには無理のある用例がたくさんある。
掛け声・決意表明・軽い冗談などを言う時にいちいちジェンダーをトランスするのかい?そもそも何を以って男性的だと言うのだい?という所からツッコまなければいけない。

だろ

語尾表現の「〜だろ?」と言うと、これまた乱暴な言葉遣いを連想する人が多いようだ。
確かにタメグチの中にも一種のお作法があるわけだが、「〜だろう」という形は現代口語が形成される以前のprotopyteである。
それを安易に否定する事は、即ち、日本語の歴史に対する冒涜であり、学問の否定にも等しい。

「だろう」のいろんな使い方

同じ「〜だろう」でもこんなに意味合いが変わってしまうのか、という事を再認識してほしいと思う。

でかい

雑な説明をすると「おおきい」が標準的な言葉で「でかい」が俗語である。
しかし実際には「でかい」は単に大きい事ではなく「予想に反して大きすぎる事」を指し示す場合がほとんどだ。
だから単純に「でかい」と「おおきい」を差し替える事はできない。

「でかい」を使った例

おいしい、うまい

しばしば日本語教師が「これは汚い言葉だよ」と教えてしまいがちな単語。

「うまい」を使った例

日本語の美しさ8 と題したこのページで「おいしい」と「うまい」について語られている。
あらすじはこんな感じ。
「近年は男女とも『うまい』という言葉をよく使い、どうやら『おいしい』との使い分けが存在しているらしい。だがそもそも地元では『うまい』が標準的な言葉であり、『おいしい』が上品で『うまい』が下品だというのは東京の連中が勝手に決めた事では?」
実際、ご当地料理のカテゴリーでは「熊本いい店うまい店」みたいに「うまい」を積極的に使う傾向が強いからね。
そして後半では「うまい」と「おいしい」の違いについての意見が紹介されているが、概して「うまい」が化学反応的で「おいしい」が作品としての評価だとする声が多く、これはなかなか的を得ていて素晴らしい説明だと思った。

あともうひとつ、
語源 【おいしい ・ うまい】 これも良いブログ記事だ。

そう…そして、この「うまい」という言葉は食品産業において最も使用頻度の高い単語であり、具体的な使用例など多すぎてとてもとても挙げきれないので、とりあえず「ねるねるねるね」のCMだけを紹介しておく。
おばあさんが「うまい!」と言った後に「練っておいしい♪」という歌が続くわけだけど、この両者の違いを説明できるだろうか?

仮に「『うまい』という言葉を使う女性が少ない」という調査結果が有ったとして、それを以って「女性が『うまい』を使うことは将来も制限されるべきだ」と考えるのは筋が違う。
ある意味ジェンダー問題がクライマックスを迎えている昨今、こんなね、「男はタピオカなんか飲まない」と同次元の発言を教育コンテンツでやってしまうのは時代錯誤だと思わなければならない。
最近テレビCMを見ていたら、芸能人が男と女で「うまい」「おいしい」をキッパリ使い分けていて、あれは単なる演出の問題なのだが危険な刷り込み効果はあるなあと感じた。
男は近代語の語調でしゃべるとカッコイイとか、なんだかよく分からない趣味の人がああいった業界内にいるわけでね……それはさておき、体格の大きい男性タレントも「おいし〜い」と言う事が圧倒的に多いので、結局の所は「おいしい」が標準的な言葉と化しているらしい。
実際のところ、Web上のコンテンツや一般庶民を観測対象にしてみると、特にこれといって性差は見当たらず、諸々の事情を鑑みて「うまい」を男言葉と解釈するのは無理が大きい。
そのうち「『うまい棒』は女の子が食べてもいいですか」とか変な質問が飛んでこないよう、十分に配慮してほしい。



味覚を5分類する考え方では、甘味、酸味、辛味、苦味、そしてもうひとつが「うまみ」と称されている。

たまたま由来の異なる言葉が2つあっただけの話なので「おいしい」と「うまい」の使い分けをどこまで定義していいか分からない。
「うまい」はほとんど間投詞として使われるのに対して、文章語としては通常「おいしい」が使われているように見える。
あと、念のためだけど「うまくできないなあ」という時の「うまい」は全くの別物なので、それと混同しないようにね。
この話題につられて「女性は『じょうずに』と言います」とか言い出したら日本語が滅亡するから。

〜ちゃう / 〜ちまう

「やってしまう」の縮約形には「やっちゃう」と「やっちまう」の2つの表現があり、現代口語としての地位を巡って、お互いに規格争いをしていた。
ご存知の通り「やっちゃう」の方が勝ち残ったわけである。
競争に負けて old-fashioned となった言葉遣いは、まあだいたい「罵倒語専用」になるか「ボケツッコミ専用」になるか、そのどちらかの運命が待っている。

すげえ

形容詞の語尾 /ai/ が /ee/ に変わったりするタイプの俗語。
より丁寧に研究をおこなうならば、もともとの方言・古語にまで遡って調べる必要があろう。
実を言うと、私の地元の長野には形容詞の語尾が /ee/ になる方言がまさしく存在しており、例えば喫茶店でおばあちゃん達が「何々じゃねえけど」とかしゃべっている訳である。

現代語での使用例


問題は、このタイプの音便化を「不満を表すための言葉」として使い回す人があまりにも多かったために罵倒語としての性格が強まってしまった…という歴史的経緯がある事なんだよね。
それでも下品な言葉だと決めつけるのは危うい所があり、たとえば熱い物を触った時の「あちち」とか、生理パンチを喰らった時の「いてて」とか「かいかいかい」とか……そういう生理現象と直結する言葉を禁じるのは無理があるというものだ。
「女性はあまり使いませんね」「でも最近は女の人もよく言ってるよ」とかいう議論をここでするのは初めから筋違いでね、
多少ピッチの違い等はあっても、同じ発声器官を持つ生物どうし、そんなに発音の仕方に差が出るとは思えない。

すまん

否定文の語尾「〜ない」を「〜ん」にするタイプの俗語。
今でも方言として生きている言葉遣いなので、その点については若干の配慮が必要だろうと思う。
現代標準語の中では冗談を言う時に使う人が多かったため、ボケ&ツッコミ表現としての印象が強い。
逆に、不満を表すためにこっちのパターンを使うのは刑事ドラマの男性役者だけで、実際にはそういう人はいない。

「すまん」を使った例

日本語の敬語表現から「ですます体」を外すと、だいたい時代劇になってしまうのだよ^^;
現代人に「すみません」は丁寧に聞こえるけど「すまん」はまじめに謝ってるように聞こえない。
謝る時の「すまん!」と「わるい!」は軽い失敗に対して使う物で、特に「すまん」については笑って済ませる事に限定される。
例によってHiNativeで「男は『すまん』と言います」とか回答してた人…やめてね、質問者の男性がその後、謝るたびに叱られるようになったら、どうすんの?
とはいえ、子育てブログなんかを見ていると『ママ、調子に乗っちゃった☆(すまん)』とか言って、この手の表現はよく出てくる。
苦労はあるけど笑い飛ばそうという潔さを表現しているのだろうね。

「あさごはん」と「あさめし」

「めし」という言葉の今風な使い方を教えよう。
あなたの考えた料理に何かユニークで面白い名前を付けたい時に「○○めし」と名付ける。
ジブリめし、新海めし、鶏めし、いためし、 名古屋めし、ひとりめし、めしテロ、さらにはTwitterハッシュタグ #女子飯 なんていう物もある。
特に「はな金は家メシ」「戦争めし」「すぐめし献立」「アジア裏めし街道」「まんぷく農家めし」など、特定のテーマにのっとって料理を紹介するのに「○○めし」と題するのが最近のトレンドらしい。
現代語では「ごはん」という言葉が標準的であるが、クラシックで文学的な味わいを持たせるために「めし」という単語を使う人もいる。
それにしても、方言・古語を手荒く扱った上に、男言葉・女言葉のタグをむやみやたらに貼り付け、いったい我々の母国語をどうしたいつもりなのかね??
日本語を勉強中の女性が「朝ごはん前」「峠の釜ごはん」などと読み替えて嘲笑を買うという、ちょっと哀れな光景すら目に浮かぶ。
もっと世情に明るい人にこそ日本語教育の現場に入って来てほしいもんだね。



本当に使っちゃいけない言葉っていうのは「特定の集団をさげすむ差別語」だけだ。
「めし」という言葉には何の罪も無いし、豊かな表現をおこなう上で欠かせない言葉のひとつとして、大事に扱ってほしい。
料理屋さんを見て回れば「何々めし」なんてざらに有るし『花のズボラ飯』という漫画作品もあるわけだしね。

【おまけ】小町とひとり飯

「食べる」と「喰う」

では引き続き、由緒ある古語を下劣な言葉と決めつけてしまう事の危険性について話を進める。
現代語における「食べる」と「喰う」の意味合いを比べてみると、ざっくり言って、お互いに理性と本能の違いがある。
本能と欲望に任せた言葉遣いはポライトネスを損なうので、「くう」という言葉ばかりを連発していると親に怒られそうである。
実際にはどのように使われてきた言葉なのか、もっと詳しく確認したい。

「食う」を使った表現

「くう」を用いた伝統的な言い回しは このブログ記事 によくまとまっている。
そして、子どもの頃に読んだり聞いたりしたことないかな?
一休さんのとんち話「くわんくわん」
森永チョコボールのCMソング、覚えてる?
今度「すし食いねえ」って名前の回転寿司、行ってみない?

以上の事を踏まえて、仮にも「男性は主に『食う』という言葉を使う」「女性は『食う』という言葉を使わない」だなんて言ってごらん?
「日本の男性は語彙力が乏しいから場面に応じた言葉選びができないのか」「日本の女性は教養が無いから古典的な名著を知らないのか」と世界から冷ややかな目を向けられる事になるよ。


ちなみに「食らう」という言葉もあるが、これは主に動物的な仕草について述べる物であり、他には「打撃を受ける」の意味で使われることもある。
最近の天文ニュースで『ブラックホールが中性子星を食らう瞬間、初観測か』という擬人法があった。

空腹に関する表現

チンピラが「腹減った〜」という場面しか思い浮かばない、そんな心のけがれたあなたにこそ「はらぺこあおむし」という絵本を贈りたい。
どの言葉が上品で下品かなんて決めるのも野暮ったくなってきた。

排泄に関する表現

私の信頼していた日本語教師ユーチューバーがある日突然に男言葉特集動画をアップして…その内容にブチ切れた。あれ以来、他人の書いた日本語学習コンテンツは一切見ていない。見限った。
その動画で何を言っていたかというと「男性は『便所』と言いますが、女性は言いません」との事。
えっとね……
まず、日常会話としては外来語の「トイレ」が標準的で、ビジネス向きの丁寧語では「お手洗い」と言う。
「便所」はフォーマルな書き言葉で、例えば役所からのお知らせでは「区で管理する公衆便所について」みたいな文章になる。
「便所」をスラング言葉として使うかどうかは、ちょっとよく分からないけど、ハッキリ言ってどうでもいい。書き言葉としての用法だけ覚えてくれればいい。
とにかく性別は関係ない。

「『おしっこ』という言葉を女性は使っちゃダメです」と赤文字で説明付けるバカもいた。
「おしっこ」とか「うんち」とかいう言葉は、ペットを飼っていたり子育て中の人なら毎日のように使う言葉だよ。それは分かるよね?
もちろん、自分自身がトイレに行きたい時に「おしっこ」「うんち」なんて言うのが適切かどうか、という問題はある。
だけどそれは女性だけの問題じゃないよね。正しく注意書きを入れるなら「いい大人の使う言葉ではない」って書かなきゃいけない。

きもい、うざい

この2つはガチでネガティブな言葉であり、「やばい」みたいにポジティブな言葉に転じる見込みはおそらく無い。
少し良い意味で使う例があったとしても「きもかわいい」とか自虐ネタぐらいなもんだろう。
この言葉の意味を知らずに見よう見まねで使うと「若者の役割語」になってしまうので、お下品な言葉だからといって軽く考えてはいけないのである。

意味の違い

やや説教くさいアニメ「ミヨリの森」の中で主人公が「うざい」という言葉を「うっとうしい」「しつこい」と同じ意味で使っていたが、その時に若干の違和感を覚えた記憶がある。
その違和感の原因とは…このアニメの作者さまが「うざい」という言葉に特有のニュアンスにまで理解が追いついていなかったから!!
ということなのである。

やがる

ここまで紹介してきた俗語は基本的に方言などに由来する物ばかりだった。
が、動詞の連用形につなげる「〜やがる」という言葉は「罵倒語を作ること」専用の言葉なので、まあ…正真正銘の汚い言葉と言える。
「相手のおこないに対して非常に腹を立てている」事を表すものであり、現代語の会話表現としてはトレンドを失いつつあるが文面では比較的現れる。
冗談やユーモアなどで、いけない事やずるい事を風刺する言葉としても使えるようだ。
何度も言うけど、これは女の人でも平然とあっけらかんと使うし、男だからといって多く使うわけでもない。
悪い事は悪いとハッキリ言わないと、そのうちナメられるようになるし「いつでも美しい言葉を使いましょう」的な考えは一般庶民にとっては非現実的なのである。
だからウチのサイトでは(差別語以外は)然るべき場面で自由に使って構わないという立場をとっている。
使い方に気をつけなきゃいけないのは、オトナだったら分かる事だから、わざわざ注意をする気もないけどね…

齋藤飛鳥「浮かれやがって!」堀未央奈は病院をPR!?

以上だが、日本語のスラングを学びたい人には『映像研には手を出すな』という漫画(アニメ)が大変オススメしやすい。
男性語的なイメージに邪魔されず、しかもあらゆる俗語を網羅的に扱っているからだ。


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