日本語の語尾「し」の使い方
「〜し」はこういう時も使うし。
「〜し」というのは終助詞ではなく接続助詞で、その上何々であるのだから、という意味を表す。
しかも最近は、一種のスラングなのか非常に語尾表現的な使い方を耳にすることが増えたし。
とはいえ「その上何々だから」という意味であることには違いないはずだし、そんなに戸惑うことないし。
「し」の文例
- ローラも行くし〜。
- 知らないし〜。
- 「この猫の顔の模様、お前の落書きか?」「してねぇし。」
- 超イケてるし。超むかつくし。
- 「これについては、言いたい事がいろいろあるんだけど、まずは超イケてる・超むかつく」ということ。言葉にしきれないほど。
- いかにも検索して出てきそうだよね。わっ、本当にあるし。
- しかもその上、実際に存在するという事実が積み重なり、驚いている。
とにかく、語尾は意味を考えて使うことが大事。意外と現実の日本人は、無意識ながら場面に応じた使い分けをきちんとしているんだ。
意味を考えずキャラ語尾みたいに「〜し。」を使いまくると「こいつ、無理して若者言葉っぽくしてるな」と、すぐに気づかれる。
キャラ語尾に関しては、この後たびたび愚痴るけれどもね。
真面目な話をすると「なぜ殺したし!」「なめんなし!」のような類については、誤った使い方…と言うより他無い。
これはネットスラングの一種で、わざと文法を間違えることで笑いを誘うという類の物なので、あくまでも誤用は誤用なのだ。
いずれにしろ今のところは、こういう終助詞まがいな使い方については文法的な説明が苦しいので「誤用」として片付けるしかない。
おまけ: 列挙する言い方のいろいろ
物事を言い並べる時の表現について紹介しよう。
列挙する表現
- 犬と猫を飼っている。
- 「〜と」を使った場合、ここで挙げた物だけに限定される
- 熱いか冷たいかぬるいかを色で表す。
- うどんとかラーメンとか食べようか。
- あくまでも例として挙げた物で、この内のどれかひとつである必要はなく、他の物でもいい(or something の意味)
- おにぎりでもパンでも。
- あくまでも例として挙げた物で、どれも選ばなくてもいい。
- 犬や猫がたくさんいる。
- 名詞を並べる(and so on の意味)
「〜と」とは違って、他にも何か存在する可能性を残す
- 犬も猫もいない。
- 「や」の否定文バージョン。おそらく他の動物もいない。
- キムチ風味ですっぱくて気持ちが和らいで温まるスープだ。
- 動詞や形容詞を並べるには連用接続するといい
- ちなみに連用形を使うと現在形過去形の区別が無い
- 電気は消えてるし鍵は掛けたし.……じゃあ帰るか。
- 文章を列挙するというよりは追加していく感じ(plus の意味)
- 本を読んだり猫をなでたりする。
- 過去形の文章を並べる物だが、他にも何かをやっていた可能性がある
- 過去の意味である必要はなく、完了形や未来完了の意味で使ってもいい
- この塾では中学生に英語を教えたりしている。
- 日本語の日常会話で非常に使いがちな表現のひとつ。「英語を教える」事だけに限定する必要がないし、別に他の事をやったって良いので、この言い方になる。
- 過去形っぽい形に見えちゃうけど、過去の意味には限らない。
- 踊るわ走るわ声がでかいわ…にぎやかな劇だ。
- 動詞や形容詞の原形を並べる
- 他にもいろいろ多くて困ることを表す
- 「褥瘡」やら「忖度」やら、たまに変な言葉が流行する。
- 競馬だのゴルフだの、どうでもいいチャンネルが多い。
- 「〜だと言う物」の省略で、いろいろ多くて困る事を言う表現の一種。
- 名詞に限らず直接話法にも使える
- 辞書を引くなりググるなりして調べる。
- 手段を列挙する。あくまでも例として挙げていることに注意。
- カレーに、うどんに、それから…
- どんな物が揃っているのか、名前をひとつひとつ言ってみせる。少しユーモラスな表現。
- 「カレーでしょ?うどんでしょ?」というパターンもある。
- お店を訪問する必要もなければ、待ち時間も必要ない。
- 文章をつづる時の表現のひとつ。副助詞「も」と条件法を用いたこの文型だと2つの事しか挙げられないが、意味は「何々もそうだし何々もそうだ」と同じ。