「たら」「れば」「と」の使い方 / 日本語の仮定・条件の表現

「〜たら(〜だら)」「〜れば」の使い分けには「完了形」という考え方を持ち込んでくるとスッキリするよ。

仮定文のおさらい

まず初めに現在形の形から確認するが、これは単なる仮定の表現だ。

現在形による仮定文


「遊べば楽しい」という形は、単に「これはこうなる物だ」と言っているだけ。
これに対して、特に行動選択を問題にしている場合は「遊ぶならおいで」という形になる。ここが割と重要。
英語の条件文ifはどちらかといえば「名詞句+なら」の方とマッチングしやすい。

次は過去形の形について確認するが、これは過去の事には限らず現在完了や未来完了の意味で考えるべき場合が多い。

過去形による仮定文


本来は「〜ならば」「〜たらば」と表していたようだが、現在ではこのような場合に「ば」を省略するのが標準化している。

時系列を表す

これは、しばしば「発見を表す用法」としても説明される。
「〜たら(〜だら)」には時系列を表す用法もあり、その場合は仮定文や条件文のニュアンスは特にない。

「たら」の文例

「たら」以外の文例

疑問文と命令文

「〜ら」を用いて接続する場合、後ろに疑問文や命令文を置くことができる。
なお、「〜ば」のあとに命令文を置く例はあんまりないらしい。

文例

願望を表す文章として

仮定法を用いて願望を表すのは、まあ、どの言語でもありふれた表現だよね。
「〜たら」「〜たなら」のような言い方をすると、過去・完了・時系列の3つのどれかのニュアンスが発生する。
実現性の高さとか、話し手の感情とか、その辺は完全に文脈依存なので、文章の形からは判断できない事に注意してください。

それとは逆に、起きて欲しくない懸念事項で「〜たら」と言う事も、もちろんある。

特に願望表現である場合は「〜ればなぁ」「〜たらなぁ」のように感嘆表現の助詞「な」を添える事もできる。

「行けたら行くよ」と言いながら本当は行く気がなくて結局行かない…なんてこともある。
何人だろうが何族だろうが、人は時にはウソをつきごまかす生き物だし、未来の事を100%約束するのは原理的に不可能だからだ。

残念さを表すには「けど」「のに」などの逆接が必要となる。
「たら」「れば」だけで残念な気持ちを表現できるかどうか、これもまた文脈次第だ。
例「時間があれば見るんだけど。」「くそぉ、昨日迷わず買っておけばなぁ…」

語尾に「〜たら」「〜れば」を使ったら?

「〜すれば」は仮定文だが、文末が「〜すれば?」で終わる疑問文は「〜すれば良いのではないか?」と提案する意味になる。
「〜したら?」で終わる疑問文についても同じように「〜すれば良いのではないか?」の意味になる。
ここで「〜たら」と「〜れば」の意味の違いを求めるのは少々苦しい所があるが、
「〜たら」は過去形(ていうか完了形)を使っているので「状況の変化」という意味合いが少し加わる。

「〜すれば」「〜したら」の文例1

それでは、疑問文ではなく平叙文で「〜れば。」「〜たら。」で文章が終わる場合はどうなるか。
これは完全に「空気読み」で、言わなくても分かるから言わないという物である。推測するしかない。
と言っても一般常識の話なので、小難しいお国柄の話とかは要らない。

「こうすればどうなる」「こうしたらどうなる」という感覚を育むためには、スポンジボブやひつじのショーンみたいなアニメもちびっ子のためにはなかなか良い物だ。
バカバカしいアニメのほうが、よっぽど情操教育になるよ。

「〜すれば」「〜したら」の文例2

「すると、」という言葉を使ってみると…

これは原因と結果を言う表現であり、厳密には仮定文ではない。
「Aが起きる」と「Bが起きる」という事があらかじめ決まっているような意味になる。
また、Aの後にすぐBが起きるという意味でも使われる。
「〜れば」「〜たら」のような仮定文とは違うので、「〜すると?」と言っても提案の意味にはならないし、「〜すると」の後は推測できない。

「〜すると」の文例

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