日本語の語尾表現を英語に翻訳する方法
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日本語の現代語・標準語における終助詞・間投助詞は、以下の8つしかない。
これ以外の語尾表現はすべてidiomである。
アジア言語に広く見られる文末表現(語気助詞)をヨーロッパ言語に翻訳する場合、適切な人称代名詞を選ぶことでその意味合いを再現できることが多い。
その辺をできるだけルール化するよう意識すれば、今まで勝手訳になりがちだった英日翻訳も改善が見込める。
ちなみに、もしも日本語の「女性語」なる物を英語で再現したければ、黒人英語に変換するとそっくり同じニュアンスを出すことができる。
人称変化やbe動詞の扱いがお粗末な所がよく似ているから。
<注意1> このページは私の独自研究ですが、まだあまり成熟しきっていません。近々、英語圏のウェブコミックを利用して英日翻訳実験をやる予定です。
<注意2> 日本語の終助詞の用法をきちんと理解しておかないと「わけわからんちん」な話になるので、トップに戻っていろいろな語尾の説明ページを読んでみよう。
〜基本編〜
受け答え
「今何時?」「5時だよ 。」
"Do you have the time?" "It's 5 o'clock."
英語のくだけた会話では主語を省いてしまう事も少なくないが、質問に答える時なんかは it とか that とか有った方が具合良い…ような気がする。
転ぶよ!
あなたについて注意をするYou'll fall!You're gonna fall!
あなたの注意を何かに向ける
和訳する時に、これは語尾「よ」を付けたいと思う物
Heyと呼び掛けるなど、明らかに相手に物事を伝えている台詞Hey, Flora! I found it. (フローラ、見つけたよ!)
一人称と二人称を両方含んでいるI won't let you go. (行かせないよ。)
「〜よ。」という語尾はあなたに対して注意する、あなたに教えてあげるという意味で使う。
それを英語では You を上手に使って表す。
「〜があるんだよ」は「You have 〜」と言ってしまえば良い。
主語や目的語があなたでない場合は「ほら」を表す "You see" などが便利。
転ぶわ!
和訳する時に、これは語尾「わ」を付けたいと思う物
話し手自身の主張を表す「I bet」などが付いているI bet that's not wrong.(間違いないと思うわ)
「〜わ。」という語尾は、私自身としてはこう思うという主観を表す。
なのでこういったニュアンスを出すには、一人称単数を必ず使うようにする。
"you" を使うと「よ」みたいな感じになるので、決まり文句の場合は仕方ないが、できるだけ "you" は使わない。
逆に英日翻訳をする時、 I my me を含まない文章に「〜わ」を使うと確実に似合わない。
また、終助詞「わ」は個人的にはスラングに近い印象があるため、あまりたくさん使う物ではないと思っている。
日本語で主語も終助詞も無い文章は1人称として解釈される場合が多いため、主語「I」の英文は何の終助詞も付けない日本語に訳した方が自然な事が多い。
「〜ぞ。」という語尾は一種の注意表現だが、「〜よ。」とは違って私の気持ちと関係のない客観的事実で使う。
従ってそういう場合は、英語では複数形にしてやると良い。なおかつwillの縮約形を使うと、それっぽくなる。
場合によっては強調表現の just が使えるかも。
早起きなんだ。
実は…Actually, I'm getting up early.
その人達は…They're getting up early.
というわけで…
へえそうなんだ。Oh you're getting up early.
「〜んだ。」は説明して聞かせる時の表現だが、使い方は大きく分けて2通りある。
「これについては語るべき事があるんだ」という場合と「というわけがあってこうなんだ」という場合だ。
早起きなの。
実は…The truth is, I'm getting up early.
ウチは…
というわけで…So I'm getting up early, y'know.
そうなの!?Oh are you getting up early!?
「〜の。」という言い方をすると、押しの強い言葉になる。
特に、私に関わりのある問題だとか私にとって興味深い事柄である場合は「〜の。」を使う。
英文の "They're" が "We're" に置き換わっているのはそのためだ。
強調表現の「do+動詞」も「〜んだ。」「〜の。」に相当する言い回しとして使える場合がある。
「なあ」のいろいろ
そうだなあ
おかしいな
悪かったなあ
たらなあ / いいのにな
いいね
いいなあI'm jealous / would be nice / that's so cool
ほしいなあ
だなあ
があればな
思い出すなあreminds me / that was a good xxx / i used to
なつかしいな
終助詞の「ね」と間投助詞の「ね」
元気そうだね。
元気そうね。I see, you look well. (情報を補う)
「ね」という語尾は私個人の意見ではないことを表す。この例だと You の意見を代弁している。
ところで、「よ」と「ね」はどちらも英語では You で表現しやすい。
You の自発的行動は「〜ね。」You の外的要因による行動は「〜よ。」と分ける事でどうだろう。
また、終止形で終わらない尻切れの文節に「ね」をくっつけるのは間投助詞としての用法。
原則として間投助詞は、何らかの発言に対する補足でしか使わない。
終助詞の「よ」と間投助詞の「よ」
ママだよ。I'm a mom. (私に注意を向ける)Here comes a mom. (誰かに注意を向ける)
ママよ。It's mom I tell ya. (要点を述べる)
間投助詞の「よ」も同じく発言の補足のために用いる。
終止形の後につなげる終助詞「だよ」とは品詞が異なるので、意味の違いが表れることに注意。
まとめ
おもしろそう。
おもしろそうだよ。Looks like fun to you. (あなたに教える) I'm sure that'll be fun. (私の忠告)You look like fun to me. (あなたについての意見)Yeah, looks like fun. (相手の質問に答える)
おもしろそうだね。Looks like fun to us. (意見の共有) That looks like fun. (相手の発言をthatで受ける)You said it. Looks like fun. (あなたに同意する)You look like fun. (あなたの様子)
おもしろそうだな。It looks like fun. (観測する)
おもしろそうだぞ。That'll be fun to them . (客観的な注意)
おもしろそうだわ。I find it to be fun. (私自身の判断)Looks like fun to me. (私にとっては)
日常英会話では必ずしも全ての文に主語を付ける必要はない。
独言や感動を表す語尾「〜なあ」は、ヨーロッパ言語では不定人称文や接続法を使う。
英語では it と that の違いも意識したほうがいい。
〜疑問文〜
何を食べますか?What will you eat? (正式な疑問文)
何食べる?
何食べるの?So what will you eat? (さらに質問)
何食べるんだ?Just what will you eat? (問い詰める)
飲みましたか?Did you drink it? (正式な疑問文)
飲んだ?
飲んだか?Did you drink it huh? (答えてほしい)
飲んだの?
飲んだのか?Huh, you drank it? (聞き返し)
飲んだよね?You drank it, right? (是非の確認)
飲んだでしょ?You drank it, didn't you? (Yesの確認)
飲んだじゃん?You drank it, no? (Yesだろうという確信)
飲んだじゃん。Say, you drank it. (やはりYesだった)
飲んだだろ。You drank it, huh? (確認の俗語)
飲んでなくね?You drank it, innit? (新しい俗語)
基本的に「〜の?」を使う疑問文は、Yes/Noだけでなく詳しく聞きたい場合、再確認をする場合、あるいは単に驚いてるだけの時に使う。
〜命令文〜
日本語でも英語でも、命令文の意味合いは声の調子によって左右されることが多い。
従ってキツイか優しいかと言い切ることはできないが、だいたいニュアンスが近くなるように並べてみた。
入ってください。(丁寧に指示する)You can come in.Can you come in?
入って。(日常表現)
入ってよ。(勧誘または催促)Come in, please. Will you come in?
入ってね。(もしよければ)
入れ。(ストレートな命令)
入れよ。(指図あるいは苛立ち)Come in, you. Whyn't you come in?
入るように!(形式ばって)
入りなさい。(感情を控えめに)
入りなさいよ。(注意を促す)
入りなさいね。(念押し)
入りな。(くだけた命令)
入りなよ。(くだけた忠告)Why not come in.Come in, why don't you?
さあ入る入る!(背中を押す)
さあ入った!(軽く急がせる)
さあ入るんだ!(実行に移せ)
さあ入るの!(言う事を聞いてもらう)You will come in, will you?
手を洗ってから入るんだよ。(教えて聞かせる)You should wash your hands before coming in.
入ってはいけません。(形式ばって)
入らないで。(待ってもらう)
入らないでよ。(拒絶)Can you not come in?Don't come in, please.
入らないでね。(お願い)
入っちゃダメ。(とっさの警告)
入るな。(とっさの発言)
入るなよ。(命令)
風邪ひかないようにね。(気をつけさせる)Take care you don't catch a cold.
転ぶなよ。(ママから子どもに)
危ないから入らない!(感情を控えめに)Do not come in, it's dangerous.
コラ、入るんじゃない。(ツッコミ)
危ないから入るんじゃないよ。(教えて聞かせる)You'd better not come in, it's dangerous.
〜推量表現〜
動くかも。
動くよね。
動くよな。
動くかな。
動くかしら。
動くだろう。
動くだろうか。
動くだろ。
動くでしょ?This will move, won't it?
動くでしょ。
動くでしょう。This would move, I think.
動くでしょうか。This could move, I wonder.
動くじゃん。
動くじゃん?
動くのかも。I suppose this will move.
動くんだよね?Then, this will move, right?
動くんだよね。
動くのかな。Wonder if this will move.
動くらしい。It appears that this will move.
動くようだ。Seems that this will move.
動くみたい。Looks that this will move.
動きそう。
動くはず。
動くと思う。
動くと思われる。I'd guess this will move.
動くではないか。I knew it. This will move.
動くんじゃない?I'm guessing this will move.
動くんじゃないの?This will move, don't you think?
話し手の確信度はおおよそ「かも 30%」「かな 50%」「だろう 70%」「かしら 85%」「はず 95%」ぐらい。
「たぶん」「もしかして」「おそらく」などの副詞は "maybe" "perhaps" "possibly" "probably" などを使おう。
〜練習編〜
車に乗せてってあげるという言葉に色々な語尾をくっつけて、それぞれ違った英語表現にしてみよう。
ちなみに以下の日英対訳は、ドラマの男女口調分けのイメージで考えてしまうと完全に「イミフ」だ。
もしも現実の日本人だったらどういう場面で使っていたか、それをよく思い出しながら考えよう。
乗せてく!I'll give you a ride! (話し手の気持ち)
乗せてくよ!I'm gonna give you a ride! (話し手の積極性)You need a ride? (相手の注意を引く)
乗せてくわ!Let me give you a ride! (立候補)I give them a ride myself ! (自己判断)
乗せてくわよ!'Tis me givin' yer a ride! (独断的)
乗せてくね!Then I'll give you a ride! (了解する)Can I give you a ride? (了解を求める)Look, / Right, they'll give them a ride! (意見の共有)
乗せてくわね!'Tis me givin' yer a ride, I see't! (独見)
乗せてくぞ!We'll give you a ride! (客観的)I'll give them a ride! (告知)
乗せてくぜ!We'll give 'em a ride! (集合意識)We'll give y'all a ride! (集合意識)
乗せてくさ。Well duh, I'll give you a ride. (断言)
乗せてくか。Oh well I'll give you a ride. (とりあえず決める)Well, I'll carry this in my car. (答えを出す + 独言)
乗せてくな。Oh they give them a ride. (観測)I guess I'll carry this in my car. (独言)
乗せてくんだ。I'll give them a ride now. (状況説明) They'll give them a ride. (他人の事情)So I'll give them a ride. (締めくくり)Oh you give them a ride. (話を聞いた)
乗せてくの。I'll give them a ride just now. (状況説明 + 強調) They'll give me / you a ride. (状況説明 + 忠告)We should give them a ride. (こちらの事情)So I'll give them a ride, y'know. (締めくくり + 強調)Oh you give them a ride!? (話を聞いた + 驚き)I'll carry this in my car. (物の説明)
乗せてくんだよ。That's why I'll give them a ride. (結論を言う)You see, we'll give them a ride. (状況説明 + 注意を引く)You should give them a ride, ok? (指示をする)
乗せてくのよ。That's why I'll give them a ride, y'know. (結論を言う + 強調)I mean I'll give them a ride. (状況説明 + 強調)
乗せてくんだね。Then you give them a ride. (状況を理解した)Oh yes we'll give them a ride. (状況を理解した)
乗せてくのね。That's why we'll give them a ride, y'know. (状況説明 + 念押し)You mean you'll give them a ride? (状況を理解した + 驚き)Ah we carry this in our car. (物に関する理解)
乗せてくんだよね。I know we'll give them a ride. (状況をもう理解している)Then we'll give them a ride, right? (状況を確認する)
一部で非標準な英語を使っている点についてはお察しを(笑)
「〜ぜ。」という語尾は独りで使うとおかしいので必ず主語が "We" になる。
おしゃべりの得意な人ならピンと来るだろうけれど、「〜んだ」と「〜の」はけっこうニュアンスが変わるので、それぞれ異なった英文を当ててみた。
こんな感じのルールで、もしも漫画のツンデレキャラの台詞を英語にしたらどうなるだろうか?
I ばっかり使いやがって You たちの事を全然考えない独りよがりな印象になるわけだね。