そこらの日本語教師にも解けない超激ムズ問題集

…なんて言ってしまいましたけど、本当に現場で働いている日本語教師が解けなかったら困りますので、よろしくお願いします🙇‍♂️
ネット上にあがっている日本語学習コンテンツをレビューして「こんな解説じゃダメだなぁ」と感じた事をもとにして作成した問題集です。

【問題1】次の文章は父・母・娘の三人の会話です。
A・B・Cはそれぞれ誰でしょうか?

A「わあ、いいにおい。何作ってるの?」
B「今ね、鍋焼きうどん煮込んでるの。」
C「時間だ。行かなきゃ…って、おーい、ふきこぼれるぞー!」
B「あらら、本当だ、危ない危ない。」
C「じゃあママは用事で出かけるから、パパと留守番しててね。」
A「うん、わかった。」

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【答え】Aが娘 Bが父 Cが母 …と考えるのが自然
人物を見分ける決め手となるのは5番目のセリフですね。
出かけるのはママ、留守番するのはパパともうひとり。
「時間だ。行かなきゃ。」は出かける人のセリフでしょうし、その場でそうしているよう指示している事から、Cは母のセリフだと考えられます。
「パパと留守番しててね」に対して返事をしているAは娘だと分かります。

ママとパパが一人称なのかどうかは文脈次第ですが、Cをパパのセリフと解釈させるには「パパと留守番していようね」と言った方が自然です。
Bをママのセリフと解釈するにしては、台所で作業をしていて「じゃあ出かける」というのもちょっと展開が急ですよね。
【問題2】次のうち「終止形」を含む文をすべて選びなさい。
(1)「ごはんだよ!」
(2)「ごはんよ!」
(3)「いいんだよ。」
(4)「いいのよ。」
(5)「できるか?」
(6)「できるの?」

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【答え】1と3と5
構文解析すると次のようになります。
(1) 名詞 + 助動詞の終止形 + 終助詞
(2) 名詞 + 間投助詞
(3) 形容詞の連体形 + 準体助詞 + 助動詞の終止形 + 終助詞
(4) 形容詞の連体形 + 準体助詞 + 間投助詞
(5) 動詞の終止形 + 終助詞
(6) 動詞の連体形 + 準体助詞

終助詞「よ」は必ず述語終止形の後につなげますが、名詞は単独では述語になりません。
また、「本当なのですか」という形を見ても分かるように、「の」は名詞と同じ扱いを受けるので、その手前の語句は連体修飾となります。
【問題3】
男「今日の作業はこの辺にして、残りは明日だね。じゃ。」
女「じゃ、お疲れー。また明日ね。」

(1)「残りは明日だね」というように助動詞「だ」が付いた理由は何でしょうか?
(2)「また明日だね」というように助動詞「だ」が付かなかった理由は何でしょうか?

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【答え】
(1)話し手自身の独立した意見として成り立たせるには、述語終止形で締めるのがお作法だからです。
もっとちゃんとした述語を補うなら「残りは明日やる事にするね」等とするべきかもしれませんがね。

(2)終止形の述語で締めない不完全な文章だから。
「また明日会おうね」などの省略だから。
このように途中で切れた文章の後に付けた場合は、終助詞ではなく間投助詞という扱いになり、言葉を補ったり相槌を打つような場面でよく見られる形です。

セリフに男・女と書いてあるのは特に関係ありません。
【問題4】
女「待って。これ、灯油じゃない。」
男「ああ、本当だ。ガソリンじゃない。危うくヒーターに使う所だった。」
この2つの「じゃない」のうち、否定文として使われているのはどちらでしょうか?

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【答え】女性のセリフ
これは「ファンヒーターに使う燃料はガソリンではなく灯油だ」「灯油とガソリンは違う」という知識を必要とする問題です。
このような「名詞 + じゃない」を用いた反語表現は、口でしゃべる場合はアクセントで分かりますが、文面で下手に使うと混乱を招くおそれがあるので注意が必要です。
【問題5】次の命令表現のうち、適切でない物を全て選んでください。
(どれも選ばないという回答も可能です)
(1)父が子へ「あわてて走って転ぶなよー。」
(2)妻が夫へ「ほら、元気出せ。あんたは悪くないから。」
(3)姉が弟へ「まあ気にするな。」
(4)弟が兄へ「がんばれー!」

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【答え】適切でない物は特になし
文法上の間違いはありません。
現代の日本では、家族どうしの会話は全てタメグチになります。
また、4つとも相手を気遣う言葉なので、特に不適切であるとは言えません。
【問題6】「もんか」を使った次の文のうち、反語表現の例文として適切な物を選んでください。
(どれも選ばないという回答も可能です)
(1)「えーと、これは、明日持っていくもんか。」
(2)「考えてみれば、まあ、そういうもんか。」
(3)「果たして、そううまく行くもんか。」
(4)「とんでもない。私があんな所の嫁になんて行くもんか!」

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【答え】4番
どれも選ばなくていいというのは、ひっかけです。
1番の「もん」はただ「物」という意味で使っているだけです。
2番は納得した時の言葉、3番は疑問を表す言葉です。
4番は「とんでもない」とも言っていますし、これが反語になりますよね。
【問題7】理由を表す文末表現「〜もん」を使って、オトナが仕事中で使うのにふさわしいセリフを考えてください。

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【回答例】
「そりゃそうだよ。だってそこ、別のディスク上にマウントしてるもん。」
「あれ、まだ来ていない?ああ、そうか、時差出勤だって言ってたもんね。」
「何かと手助けしてくださいましたもん。みんな感謝してますよ。」

あまり感情的になりすぎず、また、自分ひとりの不満とか欲望とかを表さず、客観的事実について述べる文章を考えてみると良いでしょう。
【問題8】次の会話の4つのカッコの中には「よ」「ね」「わ」「か」のどれかが入ります。
ただし同じ物を2つ以上使うことはできません。

ジェシカ「あー、またあんた()。」
ピーター「はあ、いったい何()?人を見て『また』って。」
ジェシカ「なんでもない。言葉のあや()、言葉のあや。」
ピーター「いや、気になる()、それ。」

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【答え】
ジェシカ「あー、またあんたか。」
ピーター「はあ?いったい何よ、人を見て『また』って。」
ジェシカ「なんでもない。言葉のあやね、言葉のあや。」
ピーター「いや、気になるわ、それ。」

「何ね」「何わ」という文は作れませんし、話し言葉で「何か?」は不自然なので、2番目には「よ」しか入れようがありません。
また、名詞の直後に付けられる物は「よ」と「ね」と「か」ですが、これらは1番目から3番目までで使ってしまうので、4番目に入れる物は「わ」だけが残ります。
あとは文脈を考えて1番目が「か」3番目が「ね」。
というわけで、実はこれ…文脈というよりほとんど文法の問題でした。
【問題9】上級レベルの教材で扱う文型として、適切でない物をひとつ選びなさい。
(1)妹「こういう使い道もあるのな。」
(2)父「早く起きろな。」
(3)母「風邪ひくなよ。」
(4)兄「気をつけて歩きなね。」

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【答え】2番
原則として、命令形・禁止形の直後に付ける助詞は「よ」しかありません。
単なる独立した感嘆詞として最後に「なっ」とか言うことはあっても、2番のような文型があるかのように提示するのは不適当です。
それ以外は若干マイナーではあっても間投助詞の使い方として実際にある文型です。
【問題10】次の疑問文の意味合いとして、解釈可能な物を全て選んでください。
「免許持ってるんじゃないの?」
(1)免許を持っているわけではないという事実について、単純に確認している。
(2)もしかすると免許を持っていそうな気がしたから、試しに聞いてみた。
(3)私は免許を持っているわけではないんだと、はっきり主張している。
(4)実は免許を持っていないんだという話を聞いて、ちょっと驚いた。
(5)免許を持っているはずなのに、できないのはおかしいと責めている。

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【答え】3番以外の全て
実際、3番のようなニュアンスでは尻上がりのイントネーションになりますが、疑問文のイントネーションとは異なります。
それ以外の解釈は、文脈次第ではありえますね。
【問題11】次の文章は父・母・娘の三人の会話です。
A・B・Cはそれぞれ誰のセリフか、確実に分かる範囲で答えてください。
断定できない場合は「分からない」としてください。

A「猫って、すごく高い所でも昇り降りできるんだってね。」
B「へえ、見てみたいな。さあ、跳ぶんだ、マロン!」
C「無理でしょ。まだ子猫だもん。」
B「そうだよね。もっと大きくなってからにしようか。」

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【答え】全く分からない
今回のこの会話では猫に関する発言しか出て来ていないため、人物を特定できる情報が全くありません。
もしかして真面目に考え込んじゃった人がいたら、大変申し訳ありませんでした(笑)
【問題12】次の文章のうち、明らかに曖昧な表現をひとつ選んでください。
(1)ぜひ多くの方にご来場いただければと…
(2)もうすぐ閉店になりますので。
(3)明日の集合時間は7時または8時のいずれかで間違いありません。
(4)すみません、乗り越し精算をしたいのですが…
(5)おいしかったよね。ちょっと量は多かったけど。
(6)お豆腐ナベ入れといてね。

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【答え】3番
1番は願望の表現、2番は念頭に置いてもらう時の表現、4番は解決法を知りたい時の表現で、これらはいずれも単なる決まり文句であり、特に曖昧にしようという意図はありません。
また、5番の「ちょっと」は程度の弱さを表す表現で「けど」は逆接の倒置法なので、特に曖昧という程ではありません。
6番は格助詞を省略していますが常識的に分かります。
3番は結局何時に集合すればいいのか、ちっともハッキリしていません。もっと言うと午前か午後かも分かりません。
【問題13】次の文章はじいさんとばあさんの会話です。
AとBはそれぞれ誰のセリフでしょうか?
A「おらの頭に、何か付いてるか?」
B「女性ホルモンとか男性ホルモンとか関係あるんかや?」
A「女だからって、全くハゲないわけじゃねえけど。」
B「言われてみれば、薄くなってはいるわね。」
A「まあ、お互い様だな。」

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【答え】Aがばあさん、Bがじいさん
地元の訛りをちょっと混ぜた、いやがらせ問題でしたが(笑)
文脈を読み取ることの大切さを分かっていれば、なんということのない問題ですよね。
今回は直接的に性別に関する言及があるので、「BがAの頭を見ている」という状況と3番目のセリフから判別できます。
【問題14】次の文章のうち、曖昧さの問題が起きる表現をひとつ選んでください。
(状況的にやむを得ない曖昧さは問題なしとします)
(1)「このやり方だとね、うまくできんの。」
(2)「どっちのお店に行く?」「どうしようかなぁ。」
(3)「この答えで合ってると思う?」「うーん、わかんない。」
(4)「間に合うかもしれないけど、道路の混み具合によるからねぇ…」

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【答え】1番
「できんの」は肯定文「できるの」とも否定文「できないの」とも読み取れるので、実はけっこう危うい表現です。
それ以外については、わからない事は率直にわからないと意見しているだけなので、特段の問題はありません。
【問題15】次の会話文のカッコに終助詞「よ」「わ」「ね」「な」のどれかを入れて、ただ思った事を口に出すだけでなく、お互いに言葉を交わし合っている体裁にしてください。

ジョン「見て、向こうに虹が見えてる()。」
マリア「わあ、ほんと、ハッキリ見える()。」

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【答え】どこに入れてもいいけど「よ」と「ね」を使えば正解
終助詞「わ」と「な」は個人的な考えを述べるだけの物であり、相手と積極的に言葉をやりとりするニュアンスまでは含みません。
これは細かいニュアンスの違いであり、どの終助詞を使っても文法上は間違いありません。
しかし今回は問題文でわざわざこのように指示されているので、終助詞「よ」と「ね」を使うのが素直です。
【問題16】そこらへんの教科書の言い分は置いておき、庶民感情に寄り添った教材を作ろうとしています。適切でない例文をすべて選んでください。

(1)あの映画、面白かったわよね。
(2)今から駅前の広場まで来れる?
(3)使いやすく設計されてるじゃないですか。
(4)「今って何時ぐらい?」「ちょうど5時よ。」
(5)バカにするなし!

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【回答例】1と4と5 (あくまでも例なので、言い訳次第では他の回答も有り)
庶民の言葉遣いというのは決してむやみやたらに単語を並べている物ではなく、そこには確かなパターンがあります。すなわち文法です。
(1)間に「わ」を挟み込む理由について、文法上の意義を説明できるか、あなた自身が実際にどのような場面で使うのか説明できるかどうかが問題です。それができないのなら無意味な飾り付けは適切でありません。
(2)可能形の「られる」が「れる」に縮まるパターンですが、むしろ「ら抜き」にしてしまった方が合理的になるとも言われています。正しい用法のひとつとして認める段階に来ていると考えても良いでしょう。
(3)これは「終止形接続+ではないか」の用法なので問題ありません。世間ではしばしば悪く言われる言葉遣いですが、意味を理解しないで「枕詞」的に使っていることが問題なわけです。
(4)現代の庶民言葉でも助動詞「だ」は依然として欠かせない品詞なので、無分別に「だ抜き」にしたり手荒く扱えません(ただし間投助詞の用法についてキチンと理解している人ならOKです)。
(5)ネットスラングの一種で、わざと文法を間違えることで笑いを誘う、役割語とも通じる手法です。したがって、このような終助詞まがいの「〜し」の使い方はあくまでも誤用であり、実際にはどんなにくだけた会話でも接続助詞としての用法を逸脱することはありません。
【問題17】オノマトペを用いた表現をすべて選んでください。

(1)しましま模様のハンカチ。
(2)話し方がとてもしっかりしている。
(3)疲れてるみたいだから、肩をもみもみしてあげる。
(4)雨がざあざあと激しく降っている。
(5)ぶつかりそうになってヒヤッとした。

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【答え】4番だけ
擬音語・副詞・畳語の線引きは語源を詳しくたどらないといけないので難しいですが、4番は実際に聞こえる音の口真似なので明らかです。
1番は名詞「しま」の繰り返し、2番の「しっかり」は単なる副詞であり、3番は動詞「もむ」の繰り返しです。
5番は「冷える・冷やす」と同類の単語であり、特に「ヒヤッとした」は「冷や汗をかく」と通じる表現なので、へたにオノマトペ扱いすると間違って理解するおそれがあります。
【問題18】次の文章のカッコの中に「うまい」「おいしい」「たべる」「くう」「ごはん」「めし」のどれかを入れてください。
もしも複数の意味を持つ単語がある場合は、曖昧さが残らないように注意してください。
同じ物を2回以上使うことはできません。

男性「いつも炊いてる()と違って、味がする。ほとんどただの白米なのに。」
女性「うん、()!けっこうイケるね。」
男性「白米の()炊き方なんてあるのかな。まあ普通に炊ければ困らないけど。」
女性「あとで種明かしをしよう。秘密を知ってしまえば朝()前だよ。」
男性「それに、懐かしいなあ。こんなにおかずを作って()のって。」
女性「外食は手間は省けても、結局は割りを()からね。」

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【答え】
男性「いつも炊いてるごはんと違って、味がする。ほとんどただの白米なのに。」
女性「うん、うまい!けっこうイケるね。」
男性「白米のおいしい炊き方なんてあるのかな。まあ普通に炊ければ困らないけど。」
女性「あとで種明かしをしよう。秘密を知ってしまえば朝めし前だよ。」
男性「それに、懐かしいなあ。こんなにおかずを作ってたべるのって。」
女性「外食は手間は省けても、結局は割をくうからね。」

まず「朝めし前」と「割をくう」は決まり文句なので、この中に「ごはん」「たべる」は絶対に入りません。
複数の意味を持つ単語というのは「うまい」のことで、これには「美味」と「上手」の2つの意味がありますよね。
「白米のうまい炊き方」と言うと炊飯器の基本的な使い方みたいにも聞こえてしまいますが、この男性の話し方から考えると、ごはんの炊き方ぐらいは分かっているようです。
それより一段上の味を良くする方法という意味を明らかにするには「おいしい」という単語を使うのが無難です。
【問題19】次の文章のカッコの中に「でしょ」「だろ」「んだ」「の」「しろ」「して」のどれかを、現代語の日常会話として不自然ないように入れてください。
ただし同じ物を2回以上使うことはできません。

キャサリン「あれ…誰もいない。みんな、どこ行っちゃった()?」
スティーブ「おーい!ずいぶん早かったね。いつごろ着いた()?」
キャサリン「ああ、さっき着いたばかりだけどね…。みんなどうしたん()。」
スティーブ「渋滞に巻き込まれたみたいで、まあ、もうすぐ来る()。」
キャサリン「車で移動()とは言ってみたものの、歩いた方が早かったかな。」
スティーブ「とりあえず、中に入って休憩()よ。」

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【答え】
キャサリン「あれ…誰もいない。みんな、どこ行っちゃったんだ?」
スティーブ「おーい!ずいぶん早かったね。いつごろ着いたの?」
キャサリン「ああ、さっき着いたばかりだけどね…。みんなどうしたんだろ。」
スティーブ「渋滞に巻き込まれたみたいで、まあ、もうすぐ来るでしょ。」
キャサリン「車で移動しろとは言ってみたものの、歩いた方が早かったかな。」
スティーブ「とりあえず、中に入って休憩してよ。」

現代語の話し言葉の特徴をきちんと理解していることが重要です。
対話表現としては基本的に「〜でしょ。」「〜の?」「〜して。」を用いるのがトレンドなので、相手に対して話かけているようなセリフにはこの3つを埋めます。
逆に自問自答や独り言になるとこういった話し言葉的な特徴がなくなります。
「疑問詞を含む名詞節 + だろう」については、会話の中でもけっこうありふれた言い回しになります。
また、間接話法では書き言葉と全く同じ文体になることにも注意が必要です。
【問題20】次のうち、世界の言語の中でも日本語に特有だと言える物がもしあれば、それらをすべて選んでください。

(1)動詞を文末に置くなど語順が大きく異なる。
(2)創作物では、登場人物によって言葉遣いを変えることがある。
(3)擬音語や婉曲表現や曖昧表現がある。
(4)一人称や二人称を表す単語がひとつに定まらない。
(5)初対面や目上の人と話す時の言葉遣いがある。
(6)豊富な文末表現でさまざまな感情を表現する。

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【答え】ひとつもない
「日本語にしかない」と言い切ることは一般的に厳しいです。
(1)動詞を文末に置く言語はそれほど珍しくないと言われていますし、英語・フランス語・ドイツ語の間ですら語順の規則はてんでばらばらです。
(2)これについては例えば英語の作品でも珍しくありません(方言・古語・ピジン言語・そのほか文法を崩した物など)。
(3)擬音語も婉曲表現も、ふだんの生活で必要とされる場面が必ずあるので、そういう表現の無い言語の方がむしろ珍しいです。また、ある程度の曖昧さが生じるのも自然言語の宿命です。
(4)特に東南アジア周辺の言語では、人称代名詞があまり整理されずに何種類も転がっている場合がよくあります。
(5)敬語の発達の度合いには言語によってバラつきはありますが、「親称」と「敬称」の使い分けは比較的ありふれています。
(6)文末表現については日本語というよりもアジア言語の特徴です。ただ、日本語でも何語でも感情表現は文脈によって醸し出すものなので「語尾表現は感情を表すためのツール」みたいに捉えるのはあまり正確ではありません。


勘の良い人は気づいたでしょうが、ほとんど「ジェンダーステレオタイプ」や「日本スゴイ」によるひっかけ問題です。
そういった思い込みを捨ててしまえば、至って普通の国語の問題に見えてくるでしょう?
まあ、リアルな日本語教師だったらこれぐらいは簡単に解ける問題でしたよね、当然…ぬふふ。
今後も思いつき次第、問題を追加していくかもしれません。

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