翻訳者必見! 女言葉・男言葉の消し方マニュアル

本件について言いたい事は色々あるのですが、あまり長文を並べるとバランスを損なうので、別途 愚痴専用ページ も設けてあります。
ここからの内容は、本サイト「どこよりも曖昧でない日本語教室」を要約して再編集したものです。

計ってみよう、男ことば・女ことば汚染度

暇があれば、これで色々な作家・翻訳家の「汚染レベル」を測定してみましょう(笑)

測定精度について

次のような人物は「測定不能」となります。 また、セリフの量が十分に多いことを必要とします。
数少ないセリフに対してこの指標を適用しても、なんというか「言い掛かり」のようになってしまいますね。
ちなみに「ですます体のオネエ言葉」を使う人は、それがお遊びの言葉遣いであることを認識している場合が多いので今回は問題としません。
危険なのは、ですます体の時は普通なのにタメグチの時に発症するケースです。

初期値の設定

初期状態ではNULL値ですが、次の語尾表現を一度でも使うと、漫画なら「巻数×100」アニメなら「話数×100 」に設定されます。
「よ」と「ね」については終助詞と間投助詞の違いを、「の」と「か」については平叙文と疑問文の違いをよく意識してください。

女性キャラの場合

男性キャラの場合

その後の計算方法

表現の自由との兼ね合いを考えて、役割語を使うこと自体は問題にしない方針としています。
人物によって使える言葉に制限を掛けることを問題と考え、性別にこだわらない言葉遣いをある程度おこなえば汚染度が下がっていく仕組みとしました。
測定不能やNULLではない初期値を与えたら、今度はその数値を一定のルールに従いマイナスしていきます。数値がプラスになる条件はありません。
次の文末表現を一回使うごとに汚染度をマイナスすることができます。文中や引用文は対象外です。
著作表現の中であまり珍しくない物については比重を下げています。

女性キャラの場合

男性キャラの場合

結果

サンプルとして漫画『東方鈴奈庵』1巻から3巻までやってみた結果。3冊分なので初期値は一人あたり300です。
セリフが少なめのキャラは高い数値になる傾向があるけど、まあそれは仕様だということで。
ベタベタなキャラ語尾を使う人は初期値から全く下がらないもんなので、低下の幅がそこそこ大きければ安全圏です。
魔理沙はともかくとして、あのシリーズにしては意外な結果を出してしまいました。
この理論モデルはそもそも平成時代前後の作品にしかあてはめられないし、がんばって測定値を出してもあんまり世の中の役には立たないと思います。
最近ふえてる役割語アレルギー患者に対して効果はありそうですが、まあ、もっと大事なことに時間を使いましょう。
ハマり過ぎに注意ってことで…。

本場の豊かな日本語へより近づくために

今テレビとかで聞こえてくるあの女言葉は、中村桃子の言う「てよだわ言葉」の更に劣化した猿真似で、それを公然と教科書で扱っている有様には二の句が継げません。
また「キャラ語尾」は創作の中では許されても、生身の人間の言葉にまで適用するのはTPOに反し unbecoming です。
どうしても癖でオネエ言葉やチンピラ言葉が出てしまう、そんな人のために、より現代語らしい会話に直す方法をまとめます。

<注意>
実地調査を繰り返した結果をハッキリ申し上げまして、現代日本語の語尾表現に男女差はまったくありません。
従って本ページでも「女性の場合は、男性の場合は、」といった説明は致しませんので、ご了承ください。


ジェンダーバイアスを指摘されるおそれを、健康診断っぽく5段階評価でランク付けしました。
区分判定説明
1正常ぱっと見では異常を認めません。わずかな性的偏見のある可能性は残りますが、ひとまず性別を誇張しているとまでは判断されず、日常会話として差し支えはありません。
2要注意場合によっては異常が見られますが、ほとんどは正常です。使用している場面に気をつけてください。もし気になることや不明点があれば、三次元の人間に相談しましょう。
3要観察異常が認められ、語尾を選んだ理由を調査する必要があります。自覚症状がなくとも2〜3回は読み返すなどして再点検をおこなってください。
4要精検異常が認められます。精密検査が必要です。放置せずに異性との関わりを求めてください。
5要治療40代以下男女の日本人の会話を聞いて、学習を続けてください。

行くよ。 / 良いよ。 / 猫だよ。

正常あなたは7%の確率でうっかり男言葉を出しています。
基本的には直す必要なし
自分の考えを相手に伝える、注意・忠告・勧誘などの表現です。
柔らかい口調か強い口調かといった事が説明されがちですが、「よ」自体にそのような決まりがある訳ではありません。それは文脈次第です。
語尾は飾りではないので、やたらと使わない
「〜です」のくだけた言葉が「〜だよ」であるように思われがちですが、ちょっと違います。
単に自分の気持ちを口に出すだけ等、相手に何かを働きかけるつもりが無ければ何の語尾もつけません。
特にインタビューに答える時などは、ためぐちでも語尾を付けません。
おしゃべりでは体言止めをよく使う
「名詞 + だよ」から語尾を外す場合は「だ」も一緒に外してください。
(独り言や自問自答など一部の場面を除き)対話では「〜だ。」で終わる言い方をほとんどししません。 ただし新聞記事などの書き言葉では、名詞述語文を「だ」で終わらせて問題ありません。

猫よ。

要治療あなたは99%の確率でうっかり女言葉を出しています。
女言葉かどうかという以前に文法違反
語尾のことを文法用語では「終助詞」と言いますが、「動詞+よ」「形容詞+よ」「名詞+だよ」というように、名詞の場合は必ず「だ」を挟まなければいけません。
「うちの猫よ。」は、教科書には絶対に載せられない文章です。
締めの言葉で使うことはある(間投助詞的用法)
使うとしたら「いつまでもまとまらない会話にケリをつける」といったような、一言でまとめてやる場面です。一種のスラングです。
こういった場合は断定表現の「〜さ。」と言い換え可能なので、そこを判断基準にするのも手です。

ええ。

要注意あなたは36%の確率でうっかり女言葉を出しています。
「ええ」は会話途中のあいづちで使う言葉
「ええ」は皆さんは平気で使ってると思いますが、これもべつに男女関係なく使う言葉です。
普段のくだけた会話なら「うん」といってあいづちを打ちますが、丁寧語ではそれが「ええ」に切り替わるわけです。
インタビューでは必ず「はい」と答える
YesかNoの返事を求める質問ではキチンと「はい」と答えます。
逆に「ええ」と答えるのは失礼だと思っても良いくらいです。
(ちなみにインタビューで語尾にやたら「はい」が付くのは、取材班が「OK?」という合図を送ってるからですね。私も経験者なのでww)

行くわ。 / 良いわ。 / 猫だわ。

要精検あなたは76%の確率でうっかり女言葉を出しています。
「よ」と「わ」は意味が違う
何も考えず「キャラ付け」程度の認識で「わ」を乱用してしまいがちです。
語尾の「よ」と「わ」はいずれも「私はこう思う」という意味では共通していますが、「わ」の場合は「注意・忠告・勧誘」の意味を含みません。
たとえ女言葉のつもりであるとしても、次のような場面で使うのは誤りです。
単なる語りでは何の語尾もつけない
「わ」は自分の気持ちを語る表現ですが、実際にはこういうのはシンプルに語尾なしの言葉でしゃべります。
嬉しいという気持ちを言いたいだけなら、単に「うれしい!」で十分です。
ましてや自分の気持ちと関係のない説明で「わ」を使ってしまうと、女言葉としても誤りです。
「わ」の基本的なニュアンスは「自分が!自分が!」である
日常会話で聞かれる「俺がやっとくわ。」「あ、もう終わってるわ。」などは、自分がやる、自分が見つけた、自分はこう思うといった感じの意味になります。
我を通すにも限度があるので使用頻度は少なめですが。
このような場面で「わ」が使われていても「うん、きっとここは下がり口調で読むんだろうな。」と黙認できる余地があります。

行くね。 / 良いね。

正常所見なし。
基本的には直す必要なし
語尾の「ね」は私個人の意見というわけではなく、あなたの意見、みんなの意見、不特定多数の意見であることを表します。
詳しい解説については別のページで。

行くわよ。 / 行くわね。 / 行くわよね。

要治療あなたは100%の確率でうっかり女言葉を出しています。
現代語に「わよ」「わね」という言葉は存在しない
標準語という物はいくつかの方言をルーツに持つようですが、「わよ」「わね」という言葉は現代語では使うべき場面を失っています。
従って現在では「わよ」「わね」は「〜でござる」と同じカテゴリーの言葉になります。
古語を使っていいのはせいぜい面白おかしく言ってみせる時ぐらいです。

猫ね。

要注意あなたは25%の確率でうっかり女言葉を出しています。
診断は難しい
みなさん知っての通り、語尾の「ね」には途中で一呼吸置く、以下の文章を省略する、後から文章を付け足して補足するといった使い方があります。
なので「昨日テレビでやってたのね」とか「そうね〜」とかは普通にある言い方です。
このため女言葉のつもりで「だ」を外しているのかどうかをズバリ判断することは困難ですが、ちょっと言葉を補っただけだと見なせる場合は「陰性反応」です(笑)
独立した主張は必ず「終助詞」を使う
次の会話の何がおかしいか分かりますか? 間投助詞は補足でしか使えないので、これだとインフルエンザがただの風邪のように聞こえます。
対立意見を述べる場合は、「だ」を付けて「述語+終助詞」の形を取る必要があります。

猫だ。

要観察あなたは38%の確率でうっかり男言葉を出しています。
あまりおしゃべりでは「〜だ。」を文末にしない
相手とおしゃべりをしている時に「名詞 + だ。」で終わる言い方はしません。
この場合は、名詞の後には何も続けず文章を打ち切る「体言止め」にします。
「〜だ。」で終わる名詞述語文を使っておかしくない場面は、独り言や自問自答の場合です。
それから「来た!先生だ!」みたいに自分で気づいたことをポンッと口に出す時なども使うことはあります。
(もちろんですが後に助詞をつなげる時は「だ」が必要です)

良いな。 / 猫だな。

要注意あなたは19%の確率でうっかり男言葉を出しています。
語尾の「な」は独り言を表す
「な」は主に独り言の表現であり、同意を求めるでもなく返事が欲しい訳でもないことを表します。
同意する気持ちを表す「ね」とは意味がまったく逆になっています。
今後は不用意に「な」を使うとシカトを食らいやすくなると思われます。
相手とおしゃべりを共有する時は「ね」を使いましょう。
いいか!感嘆表現といったら「〜なあ」だ、分かったか!
男女口調分けにこだわる人ほど、意外と忘れているのが「〜な」を使った詠嘆の表現です。
ひとり思いに耽る時の言葉といったら、ほかでもない「〜なあ。」なのであります。
女性らしい台詞にしたいとか言ってる張本人が、ど…どうしてこんな大事な物を…見落としていたんだ!!
いいか、もう忘れるなよ、絶対にだ!「あんな服着てみたいなあ」というように使う!!

猫な。

要精検あなたは77%の確率でうっかり男言葉を出しています。
あなたの思っているほど「名詞+な」は使われていない
「ああ、あの映画の事ね。」というように付け足し表現では主に「ね」を使い、逆に「な」を使うような事はほぼ無くなりました。
ただし「あの話はなぁ…」みたいな言い方がまったく無いわけではなく、これは何か後ろめたい事でもあって独り言に持って行きたいような状況で口に出ます。

行け。 / 行けよ。

要注意あなたは20%の確率でうっかり男言葉を出しています。
男性だろうと使う場面は限られる
命令形を使うことが適当である場面は以下のとおりです。
汚い言葉だとは限らない
日本語の命令形には、会話表現としては大きく分けて「罵り言葉」と「掛け声」の2通りの用法があります。
例えば「がんばれー」とか「いたいのいたいのとんでけ〜」などは、日常でも使える至って平易な言い回しです。
ところが、そこいらの日本語学校では罵倒語のイメージばかりが先走っていて、まるで命令形は強盗だけが使うような教え方をしています。困ったもんです。

行って。 / 行ってよ。

正常あなたは9%の確率でうっかり女言葉を出しています。
会話では必ず「〜して。」を使う
現代日本語の日常会話における命令表現は「〜して」が標準化しています。
迷うのならば100%「〜して」という形の命令表現を使うのが無難です。

行くな。 / 行くなよ。

正常あなたは16%の確率でうっかり男言葉を出しています。
実は禁止形は罵り言葉になりにくい??
禁止形とはそもそも「防御」のために使う物なので、少し攻撃力が落ちます。
特に「転ぶなよ」「風邪ひくなよ」など、相手のためを思って言うのであれば、決して悪い印象は与えないはずです。
不必要に禁止形を使うと「〜しなさい」みたいな上から目線になりやすいので、お友達どうしの会話では別な表現も探した方が良いでしょう。

行かないで。 / 行かないでよ。

要注意あなたは21%の確率でうっかり女言葉を出しています。
ネイティブならば、とっさに「ダメ!!」と言う
急な場面でネイティブが真っ先に思い浮かべる禁止形は、なんと意外にも
「〜しちゃダメ!」だったりします。
もう少しゆっくり説明する余裕があれば「〜しないでね。」となります。
<危険!> 勝手な女性像を思い浮かべない
命令形や禁止形での男女口調分けは、ジェンダー問題と直ちに結びつくので注意が必要です。
まさかいないとは思いますが「女性は命令形を使わない」と信じてる方は、トップに戻ると「命令形」のページがあるので、そちらで緊急オペをおこないます。
私の教え方なら失敗しないので!!

行きなさい。 / 行きなさいよ。

要観察あなたは58%の確率でうっかり女言葉を出しています。
ためぐちで使うには長ったらしい
くだけた会話表現としては大げさすぎます。
ツッコミの場合なら、ためらわずに「行け。」「行けよ。」として問題ありません。
少なくとも「行きな。」「行きなよ。」という縮約形に直すべきです。
「なさい」は教え子に対して使うと最適
場合によっては「〜して」が、わがままのように聞こえる事があります。
指導者の立場で、あまり感情的なものを入れたくなければ「〜しなさい」という命令表現が便利です。
省略形は「〜しな。」です。

行くぞ。 / 良いぞ。 / 猫だぞ。

正常あなたは16%の確率でうっかり男言葉を出しています。
「ぞ」を使う場面は限られている
洋画の吹き替え男優のイメージが脳裏にこびりついていると「ぞ」を過剰に使ってしまいがちです。
が、実際の日常会話では「〜ぞ。」はそれほど使わないので、ひとまず全部「〜よ。」に直しましょう。
ただし、典型的な強調表現としてキャッチフレーズではよく使われるので、そういう所では、まあ好きにしてください。
自分の気持ちと関係の無い忠告に使いやすい
「よ」と「ぞ」の違いが顕著に現れる例は、断る時の「いいよ!」です。
これを「いいぞ!」とは言い換える事ができません。こういった事から「ぞ」は自分の感情があまり入らないドライな語尾だという事が見て取れます。
例えばママがちっちゃい子に対して「車にひかれるぞ。」と言ったりします。
自分の気持ちを表す言葉には使えない
自分の事を言ってる時、自分の気持ちを込めている時には「ぞ」を使えません。
おそらく使おうとしても、ネイティブとしての感覚が許さないはずです。
「がんばるぞー」「食べちゃうぞー」などもありますが、己を客観視した言い方です。

行くぜ。 / 良いぜ。 / 猫だぜ。

要注意あなたは25%の確率でうっかり男言葉を出しています。
使いどころを間違えるとダサい
「ぞ」と同じ感覚であちこちで使ってしまうと最高にダサいですね、うん。
しかし、みんなで一緒に何かを「やるぜ!」という場面で使うとなかなか様になります。
ズバリ「1人称複数形」だと思っておけばだいたい間違えません。
old-fashioned な性格を多少帯びているので、ほとんどジョークでしか使えない言葉である事にも注意してください。
下品な言葉だとは限らない
真面目な会話には向かない言葉ではありますが、ユーモラスな会話で使うぶんには、汚い言葉というほどの物では無いはずです。
意外とキャッチフレーズなどでは愛用されているようで、個人的に
「行くぜ、東北。」は微笑ましい印象があります。

行くんだ。 / 良いんだ。 / 猫なんだ。

正常あなたは19%の確率でうっかり男言葉を出しています。
とりあえずは「〜んだ。」を使えば良い
「〜んだ」は単に「強調する」とか言う事ではなく重要な役割があり、主に次の3つの使い方があります。 ただし、連用形で打ち切ったり「〜の。」を使う方がピッタリな場面もあるので、「〜んだ。」に固執しすぎると翻訳調になります。
さじ加減が難しいですが、まあ、迷った時はとりあえず「〜んだ。」でもいかな…。

行くの。 / 良いの。 / 猫なの。

要観察あなたは40%の確率でうっかり女言葉を出しています。
同じ言葉を使いすぎない
「〜んだ」と「〜の」の使い分けは微妙ですが…。
「〜の。」を使うとしばしば私のネガティブな感情を表す傾向があるので、余計な感情を入れたくなければ原則「〜んだ。」を使うべきです。
文章の書き方で「〜のです。」を使いすぎないよう指導されるかと思いますが、それと同じでやたらと「〜の」を連発すると頭が悪そうに見えます。
「〜の!」の使い所はここだ
「〜という物だ」というニュアンスをちらつかせたい時に「〜の」を使うとピッタリです。
例えば、お説教をする時、是非とも話を聞いてほしい時、物の説明をする時などです。
特に、今の自分の状況を言う時に「〜の。」を使う傾向が強いように感じます。
「ここ大事な話」「今私は問題を抱えている所だ」という場面ではよく口に出ます。
「〜の!」を絶対に使えない所はここだ
「〜の。」という語尾を使うと確実に不自然になる場面というのが、いくつかあります。 従ってこれらの場合では必ず「〜んだ」を使うようにしてください。

なんで行くんだ? / 何なんだ?

要注意あなたは30%の確率でうっかり男言葉を出しています。
人とのおしゃべりでは「〜んだ?」を使わない
独り言や自問自答では「〜んだ?」を使うのが普通なので、べつに男言葉のつもりじゃなくても、うっかり「〜んだ?」にしてしまいがちだと思います。
人に向かって質問する場合は、よほど怒っている時やギャグを言う時でなければ「〜の?」を使います。

行くか? / 良いか? / 猫か?

要注意あなたは25%の確率でうっかり男言葉を出しています。
「〜か?」という疑問詞をあんまり使わなくなった
硬いイメージがあるためなのか、モノローグ以外の会話では「〜か?」を使うことが減っている気がします。
「遊びに行くか?」「うちの猫か?」は何も付けずに「遊びに行く?」「うちの猫?」と言います。
ただし丁寧語の「ですか?」「ますか?」は普通に使います。
ちなみに「〜か?」と「〜の?」は別物なので、互いに置き換えはできません。
下がり口調の「か」は普通に使う
上がり口調の「〜か?」は疑問文でしたが、下がり口調の「〜か。」は逆に疑問が解けたことを表します。
「あっそうか。」の他にも例えば「今日のオススメはこれか」という気づき、「そんなもんいるか!」という反語、「テレビでも見るか。」などがあります。
これだったら普通に使うので!!

行くの? / 良いの? / 猫なの?

正常あなたは2%の確率でうっかり女言葉を出しています。
ほぼ100%「〜の?」を使う
現代日本語の日常会話では「〜の?」という疑問文が完全に標準化しています。
ただし独り言や自問自答では「〜んだ?」を使うのも普通です。
ちなみに「〜の?」という疑問文は、「はい / いいえ」に限らず理由まで聞きたい場合、再確認したい場合、単に驚きを表してる場合などなどに使われますが、詳しく説明すると長いのでまた別のページで…

行こう。 / 行きましょう。

正常所見なし。
これの日本語が男女に分かれるわけがない
この2つは丁寧語かそうじゃないかの違いでしかありません。1にも2にも文法が大事。
厳密な「てよだわルール」に従うと男は「行こう」女は「行きましょう」となるらしいです。
が、私個人としては妙な役割語を見抜くために覚えておきますが、みなさんは今言ったことは忘れてください。

忘れちゃいなさい。

行くのよ。 / 良いのよ。 / 猫なのよ。

要精検あなたは90%の確率でうっかり女言葉を出しています。
批判的な発言以外では絶対に使わない
リアルの会話で「〜のよ。」が使われるケースは確認していますが、批判・指摘・ダメ出し・激しく同意といった場面ぐらいに限られます。
討論では比較的耳にする言い回しですが、普通にやさしく説明してあげるような場面では聞いたことがありません。
文法的な根拠としては、「の」の後に直接「よ」をくっつけるのは構文上「間投助詞」となる事です。
間投助詞の「よ」にはツッコミ用法しかありません。

行くのね。 / 良いのね。 / 猫なのね。

要注意あなたは39%の確率でうっかり女言葉を出しています。
「そうなの!?」と思ったら「のね」と言う
どれだけの人が気づいているか知りませんが、「のね」という語尾は密かに中程度の使用頻度を誇る言い回しです。
これは厳密には「〜の?」と「ね。」に分解できるものです。
話を聞いた瞬間は「え、そうなの!?」と驚きましたが、まあ、すぐに理解したのでその後すぐ「ね。」と言ったのです。
もうひとつの例として「〜という訳なんだよね」を短くして「〜のね」というのもありますが、無理に使わなくても良いです。
「そうなんだ」と思ったら「んだね」と言う
しかし、聞いて驚くような話なんてそう頻繁には無い物です。
たいていは日々の当たり障りない出来事についての話題でしょう。
これは相手の話を聞いて「へえそうなんだ」と言うのと同じ理屈で「〜んだね。」と言っているのです。
語尾に「の」が多すぎるとネイティブ会話としてはすわりが悪いので、程よく調整しましょう。

行くさ。 / 良いさ。 / 猫さ。

要注意あなたは70%の確率でうっかり書き言葉を出しています。
文末の「〜さ。」は書き言葉である
文章の締めとして「〜さ。」を添えるのは「以上で説明終わり!」という言い切りの断定表現です。
便利そうな気もしますが、これは話し言葉ではそんなに使いません。
口語体に言い換えたければ「〜から。」「〜からね。」「〜んだよ。」とすると、ほぼ同じニュアンスを出せます。
文中の「〜さ。」なら、話し言葉でも使う
ただし、途中で一呼吸置く、以下の文章を省略する、後から文章を付け足して補足する等、文節の後では普通に使います。
「うちの猫はねぇ…」とか言う時の、あの用法です。
「うちの猫はさぁ…」というと相手の注意を引くニュアンスが加わります。

行くし。 / 良いし。 / 猫だし。

要注意あなたは50%の確率で「にわか若者言葉」を出しています。
全ての語尾には意味がある
「〜し」はあくまでも「そのうえ」を表す接続詞です。
「超むかつくし。」の意味するところは「言いたいことは他にも色々とあるんだけれど、まずはムカつく。」という事です。
単なるキャラ語尾として「〜し。」を乱用すると「無理して若者言葉に合わせようとしてる」ことが見抜かれ、とっても恥ずかしい思いをします。

行くかい。 / 何だい。 / 行くわい。 / 良いやい。

要注意あなたは80%の確率で古い言葉遣いを出しています。
机を離れて外に出よう
外国語の勉強をすれば必ず「敬称」「親称」が出てきます。
よく入門書の中で、親称であることを表すために「行くかい?」「何だい?」という日本語をあてているのを見ます。
気持ちは分かるのですがこれは(ユーモラスに話すのでない限り) old-fashioned な言い回しなので、普通に「行く?」「何?」ぐらいで良いです。

行くだろ。 / 良いだろ。 / 猫だろ。

要観察あなたは45%の確率でうっかり男言葉を出しています。
実は現代語では「でしょ」が標準化している
ちょっと不思議な感じがしないでもありませんが、なんと実は現代の日常会話ではためぐちであるにも関わらず「でしょ」が普通の言い回しになっているのです(平叙文の文末のみ)。
ただし「なんだろう」みたいな独り言や自問自答、それからツッコミやダメ出しなどでは「〜だろ」を使うことができます。

行くでしょ。 / 良いでしょ。 / 猫でしょ。

正常あなたは13%の確率でうっかり女言葉を出しています。
それが実際だというのなら、別に……
もしかしたら「だである体の文章に『です』を混ぜるな」とダメ出しが入る可能性も、無きにしも非ずです。しかし現実にそういう話し方がおこなわれているんであれば、私はそれに従います。
なので、自分のことを「僕」という女性が少ない件についても、とりあえず「静観」しています。個人的には「ボクっ娘」が増えてくれるとタイ語の「หนู」を和訳しやすくなって助かります。

行くかしら。 / 良いかしら。 / 猫かしら。

要観察あなたは45%の確率でうっかり女言葉を出しています。
「〜かしら」は「ですます調」の会話で使う
使用頻度は低いですが、それでも一応、実際に使われている言葉ではあります。
意味は「〜だろうか」「〜でしょうか」と同じです。
女言葉のレッテルを貼られた言葉の中で、唯一「〜かしら」だけは丁寧語として利用可能であり、ぼそっと出て来ても大概は見逃してやっています。
「〜かな」でしか表現できないこともある
「かな」はちょうど50%の確信を持っている事を表しており、そのニュアンスを利用して、他の文末ではできない表現もできます。
例えばクイズを出す時、どれにしようか迷っている時、待ち遠しい気持ち等々です。
確信度が70%を上回る「かしら」では、こういった意味合いは出せません。

良いじゃない。

要観察あなたは40%の確率でうっかり女言葉を出しています。
「〜じゃん。」という言い回しに慣れよう
確信を得たことを表す「〜じゃん」が広く使われるようになったのは比較的最近なので、昭和世代の方々はもしかすると「〜じゃない」を使うことが多いのではないかと思います。
少なくとも現在は「〜じゃん」という言い方が普及しているので、使いこなせるようにしておいてください。

良いじゃないの。

要治療あなたは99%の確率でうっかり女言葉を出しています。
LGBTの方面からクレームが入る
よっぽどの強調表現としては無くもないですが、けっこう大袈裟に聞こえるスラングです。
「〜わ。」という語尾それ以上に、「〜じゃないの。」という語尾はオネエキャラをてらった言い回しになります。
自分でそんな文章を書きながら恥ずかしさを感じないのであれば、責任を持ってご自分の日常生活でも「〜じゃないの。」をお使いください。
まあ実際の所、自分の言葉として使う分には何も問題ありません。他人の言葉を勝手にキャラ付けする事が問題になっているのです。

良いんじゃない? / 良いんじゃないの? / 猫じゃない? / 猫じゃないの?

正常あなたは11%の確率でうっかり女言葉を出しています。
否定疑問文では「じゃん」を使わない
こちらは肯定的表現ではなく疑問文としての用法です。
疑問文であることを明確に言い表す必要があるためか、あまり「〜んじゃん?」という言い方を聞いた試しはありません。
従って、これはこのままでOKです。

やれば? / やったら?

正常所見なし。
どう頑張っても男女口調分けはできない
とにかく2通りの言い方が用意されていると、どっちかが女性らしくてどっちかが男性らしいという幻想を抱きがちです。
しかし「たら」と「れば」はあくまでも過去形(あるいは完了形)を使っているかどうかの違いであり、それ以外の何物でもありません。

行くから。 / 良いから。

正常所見なし。
どう頑張っても女言葉にはならない
「お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!」だとか言ってツンデレ風味に使われることが多く、使えば女性らしくなると思っている人も少なからず見受けられます。
しかし、「〜から」はあくまでも理由を表す接続詞であって、それ以外の何物でもありません。

行くもん。 / 良いもん。 / 猫だもん。

正常所見なし。
あなた自身が平然と使っている
当然な理由を表す「〜もん」という語尾表現は、日本語の中ではけっこう使用頻度の高い言葉のひとつです。
女だろうが男だろうが、子どもから大人まで、少なくとも3日に1度は使っているのではないでしょうか。
まあ、どう頑張っても性別を示す記号としては働きません。

行くもの。 / 良いもの。 / 猫だもの。

要観察あなたは53%の確率でうっかり女言葉を出しています。
音便化をわざわざ解除するメリットは無い
自分でしゃべって見るとよく分かりますが「〜もの。」は発音しにくいので、普通のおしゃべりでは「〜もん。」になります。
しかし文語調な話し方をする時なんかは「〜もの」という語尾も十分ありえます。
男が使っても特におかしいわけじゃないので、これだけで直ちに女言葉判定はできません。

行くったら。 / 良いったら。

要精検あなたは89%の確率でうっかり女言葉を出しています。
あなたの思っているほど「〜ったら」は使われていない
「何々というヤツと言ったら」の縮約形で「人の名前 + ったら」というのは聞き覚えがありますが、それ以外で「〜ったら」が使われた実例はほとんど無いので、あえて選び取る言葉ではありません。
相手にもう一度催促する表現としては、「〜ってば」を使いましょう。

21世紀初期における言文一致の進み具合

非実在女言葉・男言葉にこだわらない作品というのは、今に限らず昔から一定数あります。
その比率が今後増えていくのか減っていくのか、両方の可能性があると思います。
(その1)翻訳
日本語研究はまだまだ未熟なので、業界全体の翻訳技術が低いというのもあります。
最近は「◯◯◯の台詞がいわゆる女言葉に翻訳されてないのが良かった」的な報告例があり、ディズニー辺りを中心に「主役の女の子がオネエ言葉は変だよね」という意識も感じて来ます。
この期に及んで確信犯的に女性語・男性語を使った最悪のクオリティを保っているのが、テレビ放送の翻訳・吹替。
日本人の海外に対する意識も絡んできますが、それ以前に会話のマナーを疑うべき有様です。
(その2)教育目的のコンテンツ
庶民感覚丸出しのテレビCMやドラマだったらね、堅苦しい「てよだわ言葉」なんか無しで活き活きしてるんですが。
教育色が強くなるほど旧来のジェンダー意識がむきだしで、言葉遣いに限らず色々とステレオタイプにまみれています。
あまり登場人物を創作しようという意識が無いので、使い回しのキャラなんですよね。
朝日新聞のコラムに関しては、近頃は要らない所で女言葉を吐くことは減ってきているように見えます。
(その3)漫画の中の母親
実写ドラマの中では"普通の"女性や母親がてよだわ言葉を使ってる印象はあんまり有りません。
しかし二次元の世界からオネエ言葉を使わない母親を探すのはなかなか厳しく、ひとり見つけたら1万円くれてもいいレベルです。
世の漫画家たちはどうやら子どもと老人を描くのは得意でも「中年世代」を描くのは大の苦手のようで、けっこうステレオタイプそのまんまの描写な事が多いです。
数少ないながらも、てよだわ言葉を使わない母親キャラは例えば、漫画版の「あたしンち」のほか、有名な所では「進撃の巨人」「崖の上のポニョ」「未来のミライ」などに見られます。他にもよく探せば有るには有ります。

そもそもの話、日本語における男女の言葉の違いというのは、標準語を策定する過程で人為的に作られた物です。
私はそれを「不正改造された日本語」「気持ちの伝わらない日本語」と強い言葉で批判します。
どこかでキチンと母国語と向き合う機会を設けたいものです。

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